ケーターハムとはどんな車か 〜ロータス・セブンの思想を今に残す英国軽量スポーツカーの魅力〜

華恋の車偏愛記

ケーターハムは、ただ昔っぽい形の車を作っている会社ではありません
ここは最初にはっきりさせておきたいところです
この会社が今まで守ってきたのは、クラシックな見た目そのものではなく、ロータス・セブンが持っていた軽さの考え方です
車は大きくて重くて装備が多いほど立派だと思われがちですが、スポーツカーの世界では軽くて単純な構造の方が、運転している感覚はずっとリニアになってきます
ケーターハムは、そのことを今の時代にも平然として見せてくる珍しいメーカーです

見た目はかなり独特です
タイヤはほとんどむき出しで、ボディは細く、車高は低く、ドアも屋根も普通の車のようには整っていません
モデルによってはフロントガラスもごく簡素で、これが本当に現代の車なのかと驚く人もいると思います
でも、この割り切り方こそがセブンの本質です
一般にはスーパー7の名前で親しまれることも多い系統ですが、この記事ではケーターハムとロータス・セブンの表記で整理していきます
この記事では、ケーターハムとはどんなメーカーなのか、ロータス・セブンとの関係、なぜ英国車なのにフォード系エンジンを使ってきたのか、派生モデルはどう広がったのか、そして今でもなぜこの車が語られているのかを見ていきます

ケーターハムとはどんなメーカーなのか

ケーターハムは、ロータス・セブンの流れを受け継いだ英国の少量生産スポーツカーメーカーですただ、一般的な量産メーカーのように、実用車からSUVまで何車種も作っている会社ではありません
中心にあるのはほぼずっとセブンで、その周囲に仕様違いや高性能版、少しクラシック寄りのモデルなどが広がってきました

ケーターハムが少しわかりにくく見えるのは、自動車メーカーというより、どこかチューナーっぽい空気感を持っているからです
もともとケーターハムはロータスの販売店としてスタートした歴史がありますし、ガレージビルダー的な匂いもかなり強く持っていました
ただ、位置づけとしては、他社の車を少しいじって売っている会社ではありませんでした
セブンという車そのものを自社で継続生産してきたメーカーです
つまり、チューナーっぽさを残したメーカーだと考えると、かなりわかりやすいと思います

普通のメーカーは、時代に合わせて大型化したり、高級化したり、より多くの人に売れる方向へ寄っていきます
でもケーターハムは、むしろ逆です
小さくて軽くて不便な車を、あえて今まで作り続けてきました
そこがこの会社の面白いところです
何を足すかではなく、何を削ってもいいのかをずっと考えてきた会社だと言った方が近いかもしれません

始まりはロータス・セブンだった

ケーターハムを語るなら、出発点はもちろんロータス・セブンです
ロータス・セブンは1957年に登場しました
コーリン・チャップマンのロータスが作った超軽量スポーツカーで、余計なものを削って走りの楽しさだけを強く残すという、いかにもロータスらしい車でした

初期のセブンは、今の感覚で見るとかなり簡素です
大排気量エンジンを積んでいたわけでもなく、豪華な装備があったわけでもありません
それでも車重が極端に軽いので、少ない力でも車がよく前へ出ます
数字だけ見れば地味でも、走らせた時の感覚はまるで別物です
車の楽しさは、馬力の大きさだけで決まるわけではありません
セブンは、そのことをかなり早い段階ではっきり見せていた車でした

ロータスは1973年末でセブンの生産を終了させます
普通ならば、この車は一つの時代の名車として、人々の記憶の中に埋もれていく運命だったはずです
しかし実際には、その製造継続の権利をケーターハムが引き継ぎました
だからケーターハムは、昔の名車に似せた車を作り出した会社ではありません
セブンの正統な継承者として語れる会社で、ここはかなり大事なところです
レプリカや雰囲気だけの後追いではなく、本流を受け継いでいるからこそ、ケーターハムは今でも特別な立ち位置にいます

ロータス・セブンと当時のレース文化

見た目は少し似ていますが、セブンそのものはF1マシンではありません
でも、当時のロータス全体を見れば、レースの世界でどのような動きを見せていたのかがわかってきます
1960年前後のロータスは、軽さと構造の合理性を武器にしてモータースポーツ界で存在感を強めていました
大きくて重いものより、軽くて反応の鋭い車を作る、この発想は、ロードカーでもレースカーでも共通していたようです

1960年にはロータス18がF1で勝ち始め、1962年にはロータス25がアルミモノコックフレームを持ち込んで軽量化が時代を変えていきました
セブンの見た目が当時のレーシングカーとどこか似て見えるのは、単にオープンホイールっぽいからだけではありません
軽くすること、構造を単純にすること、必要なものだけを残すこと
その思想が、当時のモータースポーツの流れとかなり近かったからです

だからセブンは、ただの趣味車ではありませんでした
当時の英国スポーツカー文化やロータスの競技的な感覚が、かなり濃い形で道路の上に持ち込まれていた車です
セブンの細さや低さや簡素さも、単なる古臭さではなく、その時代の必然として見るとかなり納得がいきます
ケーターハムがその流れを受け継いだことにも、ちゃんと意味があるんです

なぜ英国車なのにフォード系エンジンだったのか

ここは気になる人が多いところだと思います
英国車なのに、なぜフォードのエンジンなのか
イギリスにはロールス・ロイスのように高いエンジン技術を持つメーカーもあったのに、なぜ自前で作らなかったのか
この疑問はかなり自然です

でも答えは、わりと実務的です
ロータス・セブンが必要としていたのは、国家的な威信を背負うような高級エンジンではありませんでした
軽い車体と組み合わせて楽しく走れて、供給が安定していて、整備もしやすい量産エンジンです
初期セブンはフォード100E系のサイドバルブを使い、その後はフォード・ケント系も採用していきます
これはイギリスに技術がなかったからではなく、ロータスが自分たちの力をどこに集中させるかをはっきり決めていたからです

つまりロータスは、エンジンを全部自前で抱え込むより、信頼できる既成ユニットを使って、自分たちは軽いシャシーと運動性能に集中しました
この割り切り方が、いかにもチャップマンらしいです
しかも当時の英国フォードは、ロータスから見れば遠いアメリカ企業というより、英国市場の中で使いやすい供給元でした
だから英国車なのにフォードというより、当時の英国ライトウェイトスポーツカーとしてかなり自然な選択だったと考えた方がわかりやすいです

ケーターハム・セブンの魅力とは

ケーターハム・セブンの魅力は、豪華さでも便利さでもありません
軽いこと、低いこと、単純なこと、この三つがまず大きいです
アクセルを踏んだ時の反応が早く、ハンドルを切った時に車がすぐ反応してきます
車体が小さいので速度感も強く、音も風も振動もダイレクトに入ってきます
今の車みたいに、何もかも上手に丸めてくれる感じではありません

そこが面倒でもあり、そこが魅力でもあります
セブンは、運転する人がちゃんと参加しないと完成しない車です
静かに流しても楽しい高級GTとは違いますし、誰でも安心して速く走れる現代のスポーツカーとも少し違います
もっと生っぽくて、もっと直接的です
だからハマる人には強烈に刺さりますし、合わない人には本当に合いません
この偏りの強さも含めて、セブンの個性です

現行のケーターハムも、その基本は変わっていません
軽さを軸にした運動性能が中心にあります
大馬力で押し切るというより、軽い車体をどう動かすかに価値を持たせています
ここは数字だけ追っていても見えにくい部分です
でも実際に走りを想像すると、この車の面白さはかなりわかりやすくなります
速いというより、速さの感じ方が強烈な車だと言った方が良いのかもしれません

ケーターハムは日常使いできる車なのか

ここはかなり大事なところです
正直に言えば、日常使いは楽ではありません
ドアは実質あってないようなものですし、屋根も本格的なクーペやセダンのようにはいきません
モデルによってはフロントガラスもごく簡素で、雨や寒さや風に対して快適な車ではまったくありません
荷物もほとんど積めませんし、乗り降りも優雅とは言えません
毎日の買い物や通勤に万能かと言われたら、まずそうではありません

真夏は上を遮るものもなく暑いですし、真冬はヒーターがあっても外気にさらされるので当然のように寒いです
雨が降ると急に現実が見えてきます
折りたたみの幌を積んでいないと、かなり厳しいことになります
高速道路でも、自らが出す爆音と強烈な風切り音で、静かに会話を楽しむという感じではなく、走ることそのものを主役にするしかありません
だから、普通の乗用車の代わりとして考えるとかなり厳しいです
この車は生活を便利にする道具というより、走る時間そのものを特別にする道具に近いです

でも、そこを欠点だけで片づけるのも違う気がします
不便さが、そのままセブンの魅力になっているからです
何でも簡単で快適な車とは違って、セブンは乗る前から少し身構えてしまいます
今日の天気は大丈夫か、どこへ行くのか、何を着て乗るのか、荷物はどうするのか
そういう細かいことまで含めて、一つの非日常的な体験になります
日常使いには向きませんが、そのかわり普通の車では得にくい時間があります
そこに価値を感じる人にとっては、唯一無二の存在としてこの車が見えているのだと思います

バーキン、フレイザー、ドンカーブートとの違い

ロータス・セブンの考え方は、ケーターハムに引き継がれただけで終わりませんでした
世界には、セブンの影響を受けた車や、かなり近い形を持つ派生モデルがいくつもあります
代表的なのがバーキン、フレイザー、ドンカーブートです

バーキン・カーズは南アフリカのメーカーで、いわゆるセブン系の代表格です
見た目も思想もかなり近く、セブンの派生として理解しやすい存在です
フレイザー・カーズはニュージーランドで始まり、ロータス・セブンの再現をかなり強く意識した車作りを続けてきました
この二つは、見た目も似ていて比較的素直にセブンの派生として見やすいです

一方でオランダのドンカーブートは、少し立ち位置が違います
出発点にはセブンに近い雰囲気がありましたが、その後の独自進化がかなり強く、今では単なるセブン系というより、高性能な独自ブランドとしての色が濃くなっています
つまり、バーキンやフレイザーは派生モデル、ドンカーブートはそこからさらに離れて独立色を強めた存在として整理するとわかりやすいです
ここを広げすぎると話が散ってしまいますが、少し触れておく意味はあります
なぜなら、ロータス・セブンの発想が一つの会社だけで終わらず、別の国にまで広がっていったこと自体が、この車の考え方の強さを示しているからです
軽くて単純で、運転が普通とは違うこの車には、それだけ普遍性があったということだと思います

ケーターハムはセブン以外の車も作っているのか

ケーターハムと言えばセブン、これは昔も今も変わらず基本的にはその通りです
現行ラインナップを見ても、中心はセブン系です
つまり会社の真ん中にあるのは今もセブンで、ここはまったくぶれていません

ただ、最近はセブン以外の動きも見えてきています
EVセブンのように、セブンの電動化を試す動きがありますし、プロジェクトVのような電動スポーツクーペの計画も出てきました
ここは少し面白いところです
ケーターハムがセブンを捨てたいわけではなく、セブンの外側で何ができるのかを探っているように見えるからです
軽さや単純さという自分たちの武器を、電動化の時代にどう持ち込むのか
そこを試している段階だと見るとわかりやすいです

とはいえ、今の段階ではやはりセブンが本体です
ケーターハムの名前から人が思い浮かべるのもセブンですし、この会社の魅力がいちばん濃く出ているのもセブンです
なのでケーターハムの中心はセブンで問題ありません
ただ、セブンだけの閉じた会社ではなく、この先どう広がるかを探り始めていることも事実だということです

まとめ

ケーターハムは、昔の車の生き残りではありません
ロータス・セブンが持っていた軽さの思想を、今までしぶとく守り続けてきたメーカーです
見た目は古風でも、その中身はかなり明快です
軽いこと、単純なこと、運転している感覚が濃いこと、その価値を、今の時代にもそのまま出してきます

もちろん、誰にでも向く車ではありません
快適でも万能でもありませんし、日常使いにはかなり厳しいです
でも、その不便さまで含めて、この車には独特の魅力があります
便利さを得るためではではなく、非日常的な走りの体験を得る車だからです

車がどんどん重く複雑になっていく今だからこそ、ケーターハムみたいな存在はかえって新鮮に見えます
セブンを知らなくても、この車に少しでも引っかかるものを感じたなら、それはたぶん見た目の珍しさだけではありません
車の面白さは何かという、かなり根っこのところにこの車が触れているからです
ケーターハム・セブンは、そのことを今でもはっきり思い出させてくれる一台です

コメント

タイトルとURLをコピーしました