ニューウェーブという流れ

咲良の音楽余話

レコード棚を眺めていると、時々時代の流れが見えてくることがあります
前回は、日本に広がっていったテクノの話を書きました
シンセサイザーの音が音楽の中心に置かれ、YMOの登場によって電子音は一気に身近なものになっていきました
けれども、その流れの中で、もう一つ別の動きが生まれていました
ニューウェーブです

1970年代の終わりから1980年代にかけて、日本ではニューウェーブと呼ばれる音楽が広がっていきます
ヒカシューやプラスチックスといったバンドです
こちらは、YMOのような、いわゆるテクノポップとは少し違う音楽でした
YMOがシンセサイザーでメロディやリズムをきれいに組み立てていったのに対して、ニューウェーブのバンドは、あえて曲調を崩したような音の使い方をしていました
例えば、同じフレーズを少しずつずらしながら繰り返したり、わざと妙なタイミングで音を入れたり、シンセサイザーの音にボイスを加えたり、整っているというよりは、どこか引っかかるような音の作り方です
こうした音作りの不自然さは、今の音楽と比べると少し分かりやすいと思います

現在のポップスや打ち込みを多用した音楽は、リズムもタイミングも非常に正確で、音もきれいに整えられています
いわば、完成された音を聴かせる音楽だと言えるでしょう
それに対して当時のニューウェーブは、音のズレや違和感そのものを表現の中心に据えて使っていました
意図的にタイミングを外して不安定に聴かせる、そうした部分がそのまま音楽になっていたのです
それまでの音楽は、きれいに演奏されて、安心して聴けることが前提でした
その中でこうした音は、聴き手にとって少し違う引っかかり方をしていたのだと思います

けれどその根底には、やはりクラフトワークから続く電子音の発想がありました
生の楽器演奏だけではない音楽に機械のリズム、繰り返されるフレーズ、その新しい音楽の手法が、日本の当時の音楽シーンの中で別の形に変わっていったのです
YMOがポップとして電子音を広げたとすれば、ニューウェーブは、その電子音を使って音そのものの面白さを前に出していたのかもしれません
そしてこの流れは、日本の中だけで終わるものではありませんでした
世界の別の場所でも、電子音を使った新しい音楽が生まれ始めていたのです

1970年代のドイツから始まった電子の音は、1980年代の日本で多様な広がりを見せ、そしてさらに、まったく別の形へと進んでいきます
次回は、その電子音楽が一つのジャンルとして確立していく場所に移動します
デトロイトのテクノについて、レコード棚から探してみたいと思います

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