華恋
ねえねえ咲良!
カルパスってさ「人間は考える足」って言った人でしょ
咲良
……足だと、ずいぶんアクティブね
それに多分パスカルのことだよね
おつまみは喋らないから
華恋
うは!名前違った!
で、違うの?
咲良
「考える葦」よ
風が吹けば折れてしまうくらい弱い存在だけれど
人間は考えることができる、そこが尊いとパスカルは言ったの
華恋
葦って河原にある草のこと?
あ〜
なんか聞いたことあるかも
そんで人間すごいって話でしょ?
咲良
すごいというより、弱いけれど考える
そこに価値があるという話ね
華恋
でもさ
うちの猫も考えてるよね?
絶対わたしのこと見下してるし
咲良
……それはあるかもしれないわね
華恋
あいつめ!なんかそんな顔してると思ったわ
じゃあさ、虫は?
アリとかも考えてるの?
咲良
それは分からないわ
証明できないからね
華恋
ん?
じゃあさ、それって他人が何考えてるかも
本当は分からないんじゃないの?
その人に聞かないと分かんないし、嘘かもしれないしね
咲良
……

──
人は「考える存在」だと言われる
けれどその考えは
外から見ることができない
私たちは
他人が考えていると“想像”することはできる
けれど
本当に知ることはできない
だから私たちは他者を理解しているつもりで
実は自分の中に作った「他者像」を見ているのかもしれない
──
華恋
ってことはさ
咲良
なに
華恋
わたしが今
咲良は真面目で理屈っぽい!って思ってるのも
わたしが勝手に作った咲良像ってこと?
咲良
……それを否定はできないわね
華恋
え〜じゃあさ
咲良
なにかしら?
華恋
咲良が思ってる「今どきの華恋」も
想像ってことじゃん!
咲良
……
華恋
人間ってさ、考える葦っていうより
勝手に変に考えすぎる葦じゃない?
咲良
……それはそうかもね


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