華恋
ねえ咲良
この間の絶望の話ちょっと考えてたんだけどさ
咲良
あら珍しいわね、どうしたのかしら?
華恋
だってさ、絶望が死に至る病って言ってたでしょ
今ひとつ意味がわかんないんだよね
咲良
そうなのね
華恋
だってね、絶望なんて誰にでもあるよね
咲良
それはあるわよね
華恋
それってさ、みんなその病気にかかってるってことじゃないの?
咲良
ちょっと違うかな、キルケゴールはね人は誰でも絶望してしまうことに対して、その可能性を持っているって考えたんじゃないかな
華恋
可能性って?絶望してしまう可能性があるってこと?
咲良
キルケゴールが考えた絶望してしまう可能性には、いくつかの形があるのよ
華恋
ん?ちょっと難しくなってきたかな
可能性に種類があるってことを言ってるの?

咲良
そうなのね、例えば
自分がどういう人間なのか、あまり考えたことがない人
華恋
それは、なんとなく生きてる人ってことだよね?
咲良
そうね、毎日忙しくて自分のことを深く考える暇がない人もいるわね
華恋
それって普通じゃないかな?
そんな人いっぱいいるんじゃない?
咲良
普通かもしれないわね
でもキルケゴールは、それも一つの絶望だと言ったの
華恋
え、なんで?
咲良
自分という存在をまだ知らないからよ
華恋
え〜、自分のことがわかんなかったら絶望なの?
咲良
そうなんだけど、別の形もあるのよ
華恋
まだあるの?
咲良
自分のことを分かっているのに、それから逃げようとする人
華恋
逃げる?
咲良
例えば、本当はやりたいことがあるのにそれを諦めてしまう人
自分の気持ちに気づいているのに、見て見ぬふりをする人もいるわね
華恋
それって、結構いる気がするんだけど
咲良
そうね、キルケゴールはそれも絶望だと言ったの
華恋
なんかさ、絶望っていうよりすっごく普通の人のことみたいなんだけど
咲良
でもキルケゴールはね、人は自分という存在から逃げることができないって考えたのね
自分を知らなくても、自分から逃げようとしても、結局その人は自分として生き続けることになる
華恋
されはそうなんだろうと思うけど、なんかそれちょっと怖いかも
咲良
そうかもしれないわね
華恋
でもさ、みんなそんなこと考えて生きてないよね
ごく普通に仕事のこととか、生活のこととか考えながら暮らしてるだけだと思うんだけど
咲良
そうね、もしかしたら自分のことは考えないようにしているのかもしれないわね
華恋
なんで?
咲良
自分のことを考えるのって少し怖いことだからじゃないかな
華恋
うーん、そうなのかな
咲良
だから人は忙しくしたり、別のことに夢中になったりして、現実の自分から少し離れようとするのかもしれないわね
華恋
それってさ、みんな少しずつ現実の自分から逃げてるから、絶望してることになるよってことなのかな
咲良
キルケゴールなら、そう言うかもしれないわね


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