華恋
ねえ咲良
変なこと聞くけどさぁ
わたしってさ〜、絶対ここにいるよね
咲良
急にどうしたの?
華恋
だってほら、わたし今こう思ってるし
考えてるし間違い無いよね
咲良
なんか唐突すぎない?
それで、その華恋が言うわたしを
私に見せられる?
華恋
え?
えっと、ほらここ!胸のあたりかな?
咲良
心臓なら見せられるけど
ひょっとしてハートとでも言いたいの?
それは わたしでは無いんじゃないかな
華恋
じゃあ頭、脳みそ!考えてるし
咲良
それは臓器よ
華恋
え?わかるでしょ?違うの?
じゃあどこなのよ!
咲良
それを聞いているの

──
デカルトは、疑っても疑っても
疑っている自分だけは確実だと言った
だから
我思う ゆえに我あり
けれど、その確実さは本人の内側にしかない
他者はそれを直接確認できないから想像しかできない
私たちは言葉や態度から、それを推測するしかない
──
華恋
でもさ、そんなこと言ったって
わたしはほんとに今いろいろ考えてるよ
咲良
あなたにとってはね
華恋
え?わたしにとってってどう言うことよ
じゃあ咲良から見たわたしって想像ってこと?
咲良
かなりの部分はね
華恋
ひど!
じゃあわたしって咲良の中では推測の塊じゃん!
わかってくれてないかもじゃん
咲良
そうかもしれないわね
華恋
なんかそれ
わたし半透明みたいでやだな
ここに居るのにな
咲良
でも私もあなたから見れば同じ状態よ
華恋
え?
咲良
私のわたしも、あなたには確認できないわ
私はあなたの想像の産物だよ
華恋
……
咲良
あなたにとっての確実と私にとっての確実は
少し違う場所にあるみたいね
華恋
なんかさ、確実って言葉
急に頼りなくなってきたわ
咲良
だから私たちは確実さの上ではなく
互いの言葉の上に立っているのかもしれないわね
華恋
うわ〜それ重いし、よく分かんないよ
咲良
哲学は だいたいそうよ
華恋
……なんなん


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