なんとなく嫌いって何?

咲良のフィロソフィア

咲良
会社でお土産もらったのよ
華恋も食べる?

華恋
え〜
それいらない

咲良
どうして?

華恋
なんとなく嫌い

咲良
食べたことあるの?

華恋
ないけど

咲良
ないのに嫌いなの?

華恋
なんか見た目が苦手なのよ
ほらその色とかさ
甘そうだし

咲良
甘そうだから嫌いなのね

華恋
いや
甘いのは好きだけど
なんか違うのよ

咲良
そのなんかって何よ

華恋
うるさいなあ
なんとなくなんだもん

咲良
怒るってことは
大事な感覚なのね

華恋
え?
どういうこと

咲良
どうでもいいなら
そんな守りの体制にはならないでしょ

──

人は経験していないものにも
好き嫌いを感じる

それは気まぐれなのか
わがままなのか

それとも、これまでの記憶や
環境の中で積み重なった小さな経験の影なのか

感性は突然生まれるものではなく
気づかないうちに形づくられているのかもしれない

けれど、それを言葉にしようとすると
どこか迷路に入り込む

自分でもうまく説明できないからこそ
問い詰められると少しだけ腹が立つ

──

華恋
でもさ〜
理由なんてなくてもいいじゃん!
嫌いなものは嫌いでいいでしょ?

咲良
もちろんそれでいいわよ
ただね

華恋
ただ何よ

咲良
その嫌いは
本当にあなたのものかしら

華恋
え?

咲良
誰かの言葉とか昔の記憶とか
そういうものが混ざってない?

華恋
そんなの
わかんないよ

咲良
わからないのが普通よ

華恋
もういいから
そのお菓子どうすんのよ

咲良
いいから食べてごらんって

華恋
え〜
仕方ないなあ

……

華恋
あれ?

咲良
どう?

華恋
美味しいじゃん!

咲良
嫌いじゃなかったのね

華恋
……なんとなく好きかも

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